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【知られざるオーガニック大国】ペルー・リマのファーマーズマーケットへ

グルメブームで国産の価値を再認識

「少しでも身体に良いものを」という健康志向は、今やペルーに限らず世界的なムーブメントです。日本もそうした流れにありますが、ことオーガニック食品の消費量となると簡単にイコールとは言えないようです。「次代の農と食をつくる会」の報告(2017年)によると、日本国内のオーガニック・エコ農産物が広がらないと思われる理由は「オーガニック・エコ農業の価値を消費者に伝えきれていない」が65.3%でトップ、「小売価格が高い」が44%でした。「値段が高い上に、本当にそれって価値のあることなの?」という疑問を抱いていては、せっかくマルシェに足を運んでも商品に手を出す気にならないかもしれません。

ペルーは所得格差の激しい国ですが、オーガニック食品に関しては日本よりはるかに身近な存在と捉えられています。そのきっかけは、2000年代前半に始まったグルメブームでした。リマの有名シェフたちがアンデスの山間部やアマゾンの密林に自ら足を運び、産地のみで消費されていた希少な食材を次々に紹介、各メディアを通じてオーガニックの素晴らしさを広めたのです。

2008年にリマで始まった大規模グルメイベントでも、かつて市場では流通していなかった数百種類にも及ぶジャガイモやトウガラシ、キヌア、アマゾン産の珍しい果物など、国内各地方の特産物が集結。イベントではそれらの美味しさや栄養素だけでなく、生産者の暮らしや昔ながらの有機農法の意義にフォーカスが当てられました。その結果、ペルー伝統農産品が持つオーガニックな価値が広く知られるようになったのです。

アンデスの農家が日常的に食べている「パパ・ナティーバ(原種に近い土着のジャガイモ)」

例えば、アンデスの農家が日常的に食べている「パパ・ナティーバ(原種に近い土着のジャガイモ)」は、多品種を混ぜて栽培することで病害から守り、休耕を挟むことで連作の障害も防いできました。標高3800m前後で耕作され、その厳しい自然環境からもともと病害虫の影響を受けにくいとされるキヌアでさえ、2~3年は畑を休ませるのだそうです。

物流の問題からこれまで市場に出回らなかったこれらの農作物は、有名シェフやグルメイベントを介して初めて脚光を浴び、食べることが何よりも大好きなペルー人を大いに刺激しました。人々は国産品の持つポテンシャルの高さを再認識することになり、それまであまり馴染みのなかったオーガニック食品に対する壁が一気に取り払われたのです。

ビオフェリアの誕生から19年。今では週末開催のオーガニック市は10か所前後にも増え、ショップや専門店も次々オープンしています。スーパーのオーガニックコーナーも充実した品揃え。話題のカフェやレストランのメニューには必ずと言っていいほど「オーガニック」の文字が書かれており、食いしん坊を自認するリマ市民にとって、美味しくて身体に良いものを食べることは自然なことになってきました。ペルーのオーガニックブームが「ブーム」でなくなる日は、そう遠くないかもしれません。

取材・文/フリーライター 原田慶子