五味の働き~今回はその1<酸味>~
薬膳では、全ての食べ物を「酸・苦・甘・辛・鹹(カン:しおからい、しょっぱい)」と五つの味に分け、それぞれが特有の働きを持つと考えます。
中でも酸味は、身体を引き締める働き。汗の出過ぎ、長引く下痢、尿漏れなどの症状に使うと良いでしょう。食べ物ではグレープフルーツ、オレンジ、りんご、レモン、トマト、ザクロ、サンザシ、梅干しなどがあります。
例えば、夏暑くて汗が出る時には、レモンジュースや梅ジュースなどで汗の出過ぎを抑えたり、気持ちがイライラする時に酸味のきいたドレッシングを使った料理などを取り入れたりすることで気持ちを落ち着かせる、という風に使うことが出来ます。
春のイライラを考える
春は冬の寒さから温かい気候へ移り行く季節。動物は冬眠から目覚め、活動を始めます。私たち人間も自然界の一部としてその影響を受け、冬の寒さで縮こまっていた状態から活動を始める季節です。
そんな春になると、●何となくイライラする ●目が充血する ●ため息が多くなる ●憂鬱な気持ちになる ……そんな方、いらっしゃいませんか?
これは、春と関連する臓腑「肝」の働きによるもの。冬に滞りがちだった「気血」の巡りも良くなり、代謝が上がる春は、気持ちもウキウキしてきますが、その一方でイライラしたり、気持ちが沈んだり、不安定になりやすくなります。
肝には情緒をコントロールする働きがあるため、肝の機能が弱くなっている人は、春の環境の変化によるストレスを受けると不安定になりやすいのです。
そんな春のイライラには、先に触れた酸味を持つ食材や、次のような肝の働きを助けてくれる食材がおすすめです。
春のイライラにおすすめの食材
玉葱、芹、セロリ、パセリ、ピーマン、ほうれん草、えのきたけ、金柑、みかん、グレープフルーツ、オレンジ、レモン、アワビ、牡蠣、クラゲ、すっぽん、はまぐり、はぶ茶、菊花(きっか)、ほうれん草、桑の実、いか、うなぎ、牛肉、鶏レバー、黒木耳(くろきくらげ)、黒胡麻、棗(なつめ)、龍眼肉(りゅうがんにく)