人生100年時代のライフスタイルラボ
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【「疲労科学」の専門家に聞きました】人生100年時代をいきいき過ごす「疲れ」との付き合い方とは?

人生100年時代に「疲労」と上手に付き合うには?

人生100年時代を健やかに過ごすには、疲労を解消し、未病の段階を改善することが大きなポイント。そのためにはよく眠ることがまず大切ですが、脳を休ませるためにもう一つ大切なことがあるといいます。

「疲労は同じ細胞を使い続けることで生じることがあります。ですから、いろいろな刺激に触れて使う細胞をうまく交代させながら、癒しの時間を作ってあげることが大切です。学習や仕事のときにも、ちょっと外の風景を眺めるだけでも細胞は休むことができます。また、周囲との談笑や多世代の人とのコミュニケーションも効果的です。活動する細胞のオンとオフを切り替えることで、適度にメリハリをつけることができるのです」

多世代の人とのコミュニケーション

多世代の人とのコミュニケーションが癒しになるというのは興味深いですね。逆に、特に高齢になってから一人でずっと過ごすことには問題があるといいます。

「一人の状態が続くと、一気に認知症が進んでしまうことがあります。たとえばテレビを観るにしても、『目には入っているけれど特に反応することもなく、ただ流れてくる情報にさらされているだけ』では、脳細胞にとってメリハリのない状態です。でも、そこに小さな子どもがいて隣で笑っていれば、自分も同じように笑ったりして、情報に対して反応できるわけです。また子どもの存在自体が新鮮な刺激にもなります。このように、“気持ちが動く”ということがとても大切だと思います」

人とのコミュニケーションによって気分が変わった経験は誰にでもあるはず。それが多世代との交流になることでより多様な刺激となり、脳にメリハリが生まれて休ませる部分はしっかり休ませるという癒しにもつながっているのですね。では最後に、水野先生自身の疲労対策も伺ってみましょう。

理化学研究所 健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 健康計測解析チーム/新規計測開発チーム チームリーダーの水野敬先生

「自分の脳がどのような状態なのか、どの辺りを重点的に使っているのかが、職業柄なんとなく想像できるので(笑)、『この作業はここまでにして、次は別の仕事をしてみよう』といったことを意識的に考えるようにしています。今は頭を使う仕事をするべきなのか、単純作業をするべきなのか、といったことですね。また、ずっとパソコンを見ていると視覚ばかり使ってしまうので、少し人と話して聴覚を働かせてみるとか。使う脳の場所を切り替えることを大切にしています」

一般の人が自分の脳の状態を想像するのはちょっと難しいかもしれませんが、メリハリをつけて生活することはできるはず。使う頭の部分を意図的にスイッチしていくことで、疲労が過剰に蓄積していくことも上手に予防できるのではないでしょうか。

人生100年時代を生きるためには、充分な睡眠と、多世代コミュニケーションなどの豊かな刺激が大切。心身ともに疲労を乗り越え、いきいきとした毎日を過ごしたいですね!

理化学研究所 健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 健康計測解析チーム/新規計測開発チーム チームリーダーの水野敬先生

【Profile】

水野 敬(みずの・けい)
理化学研究所 健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム 健康計測解析チーム/新規計測開発チーム チームリーダー

2007年に大阪市立大学大学院博士課程修了(医学博士)後、理化学研究所分子イメージング科学研究センター・研究員などを経て、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター・上級研究員(2015年より)/大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座・特任准教授(2017年より)/理化学研究所生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム・チームリーダー(2017年より)/大阪市立大学健康科学イノベーションセンター・センター副所長(2018年より)などを兼務。専門は疲労科学。日本小児神経学会優秀論文賞(2012年)、理研研究奨励賞(2013年)、日本小児神経学会学術集会優秀English Session賞(2016年)などの受賞歴があり、子どもの抱える慢性疲労の問題にも取り組んでいる。

構成・取材/CHALLENGE100編集部
文/岸智志(スタジオライティングハイ)