突然ですが、あなたの味の好みは薄味派? それとも濃い味派? 味覚や食べ合わせの研究をする「味博士」こと鈴木隆一さんによると、「濃い味を強く求める味覚は、不健康になるリスクが高い」のだそうです。そう! 味覚と健康は密接に結びついている! それじゃあ、健やかな老後をおくるための味覚は、どうやって手にいれればいいの!? おしえて、味博士!
子ども時代をピークに、年を取るほど味覚は鈍感に!
私たちの「味覚」は、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5分類で構成されています。舌や上あご、のどの粘膜にある味蕾(みらい)という器官で味を感じます。味蕾の数は、およそ数千個。繊細な味を判別するために欠かせない器官なのです。
「味蕾の数は個人差がありますが、一般的に子どもの味蕾の数は大人のおよそ1.3倍。10歳前後をピークにどんどん減っていきます。味蕾の細胞は10日ほどで生まれ変わりますが、60代、70代の方は代謝が落ちていることもあり、毎回うまく細胞が生まれ変わるとはかぎりません。つまり年を取れば取るほど、味覚は徐々に鈍感になっていく」
と、鈴木先生。子どもの味蕾が発達しているのは、味によって「食べても害はないか」「栄養のある食べ物か」などを判別するため。とくに苦味や酸味が嫌いなのは、毒物や腐敗物などを避ける仕組みが本能的に働いているからなのです。
「しかし、苦味や酸味は学習すれば慣れていくんです。ビールやコーヒーだって、飲んでいくうちにだんだん美味しく感じていきますよね。だから、味覚が鈍感になり様々なものを食べられるようになっていくうちに、複雑な味を楽しめるようになるんです」